第16章 The beginning of the story6
「さて…店の準備してくる」
「ああ…今日は俺も手伝うよ」
「えっいいよ。翔、疲れてるだろ?」
「でも…俺もなんかさせてよ。一人で夜することもないし」
「え…あ、ああ…」
「ん?なに?」
「い、いや…」
ホントに今日、智の奴、雅紀の部屋行くのかな…
俺のことほっといて…
「翔、あの…今日、な?」
「うん?」
「一緒に寝なくていいからな?」
「えっ…」
途端に真っ赤になって、翔は固まってしまった。
「あっ…あのっ…そんな深い意味はないからっ…その…」
ああ…俺、何言ってんだろ…
キスしたくらいで…そう、キスしかしてないし。
翔からはっきり気持ちを聞いたわけじゃないし。
だから、ちゃんと線引きしなきゃいけないんだ。
「だから…さっきの話は、気にすんなよ?」
「う…うん…」
なんだかお互いもじもじしてしまった。
アホか…いい年した大人が…
「じゃ、じゃあ…俺、行ってくる」
「あっ…潤っ…」
「え…?」
まだ真っ赤な顔をした翔が、俺のこと呼び止めた。
「えっと…その…」
な…なんだろ…
「俺…あの…」
凄く…真っ赤になってる顔が
「別に…その…」
かわいいと思った。