• テキストサイズ

SHELTER【気象系BL小説】

第16章 The beginning of the story6






雅紀と智が出ていって、翔と二人きりになってしまった。

「どうしたんだろ…智…泣いてなかった?」
「あ?ああ…」

智は家族に恵まれていて、翔の言葉になにか感じたんだろうとは思うけど…

「智んとこは…家族が凄く智を助けて…智のあの障害、中学まで隠し通したんだ」
「えっ…中学まで!?」
「うん…普通だったら、もっと早くに政府にバレてるんだろうけど…智んとこは、違ったんだ。だから…」
「そっか…智、しあわせだったんだな…」

ごくりと水をコップから飲み込むと、少し遠い目をした。

「良い家族だったんだろうなぁ…」
「…だと思う。俺も実の家族は早くに死んだから…だから、羨ましいなって思うよ」
「そっか…」

俺も水を飲むと、カップをテーブルに置いた。

「…だから、翔の話聞いて、切なくなっちまったんじゃねえかな…もちろん、同情とかじゃなく…」
「ん…それは、わかる。智はそういう奴だもんな」

翔が笑って俺を見上げた。

「大丈夫。誤解なんかしない」
「うん…」

たった一年。
その間、翔がB地区に忍んできたのは数回だ。

その数回で、翔は俺たちの人と成りをもう把握してしまったみたいだ。

まあ、最初が最初だったしね…

でも、凄いことだと俺は思ってる。

/ 483ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp