第16章 The beginning of the story6
翔が帰ってきて晩御飯の時、潤が松兄のこと聞いてきた。
「そうだなあ…」
雅紀が遠い目をして、あの頃を思い出してる。
「俺たちがここに着た頃、このあたりを仕切ってた人なんだよ…」
ここには凶悪犯罪者もいるけど、なぜかこの学校には近寄ってこなかった。
最も、マジでヤバイのはC地区にぶち込まれてるんだけど…
松兄は、強面で身体も大きかったし強かった。
犯罪者のグループのリーダー格の長瀬さんと仲が良かったから、なんか約束でもしてたんだと思う。
「潤がC地区からこっちに流れ着く前に死んじゃったけど、その後も長瀬さんが良くしてくれて、学校には誰も悪さしないんだよ」
「へえ…そんな人が居たんだ」
「松兄も、C地区から流れてきた人だって言ってた」
「…そうなんだ」
今は、潤がなんとなく先頭に立っててくれてるから、あいつらも一目置いてて。
「潤、松兄みたい…」
ぽろっとそんなこと言ったら、潤は目を丸くしてた。
「俺や雅紀は、武闘派じゃないもんねぇ」
「ね~智」
「ね~雅紀」
「ちょ、待てよ。俺が武闘派みたいな言い方すんなよ」
ゲラゲラ雅紀と笑ってたら、翔も一緒になって微笑んでた。
「ね?翔もそう思うでしょ?」
「えっ?」
「そ、そんなことないよな?翔」