第16章 The beginning of the story6
「できれば…ここの近隣の人たちも収容できるようにさ…いくつか作れたらいいなって思ってるんだ」
夢みたいな話だと思ったけど…
ここの客や近所に住んでる連中と協力すればできない話じゃない。
どうせ仕事もなくって、食べるものさえ確保できたら、後はブラブラしてるんだ。
協力してくれた連中はもちろんシェルターに入る権利があるし、みんなで食料なんかを備蓄しておけば、負担も減る。
「露天風呂は無理だけどさ…それなら、できそうじゃない?」
翔が俺を見て微笑んだ。
覚えててくれたんだ。
一年前、俺が言ったこと…
なんだか嬉しくなった。
「よしっ!乗った!」
翔が出かけてしまってから、ほんとは畑仕事やろうと思ってたけどやめて、潤と雅紀と3人で一階の床を見て回った。
「空き教室はだいぶあるけど…」
「広めの部屋のほうがいいんじゃないか?」
机やら椅子やらごちゃっと積み上がってるのを片しながら、床板をはぐる算段をしている。
「外は駄目かな…」
「やっぱさっきの話だと、学校の中のがいいんじゃねえか?」
「あ、そっか」
何箇所か見て回って、雅紀が紙にメモしていってくれる。
「じゃあ、道具持ってきて試しに一個やってみるか」