第15章 The beginning of the story5
「ごめん…」
「え?なにが?」
「いや…寝起きでいきなりこんな濃い顔見てびっくりしただろ?」
「えっ…起きてたの?」
「えっ?」
あ、違うのか…
さっきのこと、言ってたんじゃないんだ。
「え、えと、何…してたの…?」
潤が答えなくて、なにを言っていいのかわからなくなって目を逸らした。
「…やっぱ、気持ち悪いよな…」
「え?」
思わず見た潤の顔は、悲しげに歪んでいて。
「俺たち…男同士で愛し合ってる。知ってるよな?」
「えっ…?」
「だから、こんなこと…寝顔見てただけなんだけど…気持ち悪いことしてごめん」
がばっと頭を下げると、潤は立ち上がった。
「いや、潤…」
「朝飯、作ってくる」
「あっ…手伝う」
「いいから!」
強く、拒否られた。
そんなに…嫌なのか。
咄嗟に握った手が離せずに、途方に暮れた。
「…なんでそんな顔すんだよ…」
「え?」
「わかった…一緒に、行こう?」
そう言って、手を握り返された。
握った手は、熱い
外の廊下に出ると、手洗いがあった。
そこで二人で顔を洗って、給食室まで歩いていく。
「あのさ…」
「ん?」
言っておかないと、と思った。
「別に俺、気持ち悪いとか思ってないから…」
「翔…?」
「だから、気にしなくていい。ここじゃ、当然のことなんだし…」
だってここには女性はいない。
何年もこんな所に閉じ込められて、こうなってしまうのはしょうがない。
「でも、さ…翔はA地区の人なんだし…免疫ないだろ?」
そうだけど…そうなんだけど…