第15章 The beginning of the story5
雅紀たちが風呂にいくと、潤に学校の中を案内された。
一年前に逃げ込んだ部屋にも連れて行ってもらった。
「またいつあんなことになるかわからないから…翔もここの場所は覚えておいて欲しい」
「ああ…わかった」
やっぱり…こんなとこじゃ、踏み込まれた時見つかりやすい。
どこかもっといい場所にシェルターが作れないかな…
「翔が居る間、来なきゃいいんだけどさ…」
「うん…油断はしないようにする」
「…絶対に、守るから」
「え?」
「翔はいくら頭が良くてもさ…やっぱりA地区の人だから。俺たちで守るから…」
こんな職業だから、色々な訓練は受けてきてるし、むしろ俺が守るくらいの気持ちで居たのに。
不意打ち過ぎた…
「翔…?どうした?」
「い、いやっ…」
守ってもらうなんて、今まで経験したことがない。
親もなく、兄弟もなく。
自分の身体一つだけで生きてきた俺が、誰かに守られるなんて…
「でも、顔まっか…」
「な、なんでもないっ…」
なんだかまっすぐに潤の顔が見られなかった。
たまらず、顔を逸してしまった。
「た、頼りにしてるよ」
「ああ…」
ちょっとだけ、潤の体温が近くて。
ドギマギしてしまった。