第15章 The beginning of the story5
「これからお世話になります」
「ちょ、ちょっとやめてよ!」
慌てて雅紀が俺の身体を起こした。
「そんなのいいから…ねえ、潤?」
「そうだよ…さっきからそう言ってるのに、翔、聞かねえんだもん…」
じっと雅紀は俺の目を見た。
「翔の気持ち、本当にありがたいよ…今までA地区から忍び込んで来る人はいたけどさ…こんな風に俺たちの役に立ちたいって人、初めてだからさ」
「そーだよ!翔!ほんと、俺たちありがたいなって思ってるんだからさ!」
「だから、遠慮はなしね。俺たちも翔はお医者さんなんだから、遠慮しないからね?」
「そーだよ!どんどん風邪ひいてやっから!」
「もー智、おばか…」
「えっ?俺、ばか?」
どっかで聞いたことのある会話を聞きながら、なぜか心があったかく満たされていく。
「わかった…遠慮、しない…」
「うんうん。そうして?」
「そーだよ!だからこき使うからな!」
潤が後ろから智の後ろ頭をぐーで殴った。
「いてえ~…なにすんだよおお!」
「あ、ごめん。つい…」
「なんなんだよおお!」
「翔をこき使うなんていうからでしょ?もう…」
「雅紀まで~!ひどおい!」
どろどろのまま潤に抱きつこうとして、めっさ拒否られてた。