第15章 The beginning of the story5
学校跡に着くと、裏門から入った。
勝手口みたいなところから中に入ると短い廊下があって、すぐ右手には給食室がある。
その短い廊下を出ると、一階の長い廊下にでる。
右手に折れて、給食室の隣の部屋に入ると、そこはここの住人がリビング代わりに使っている教室だ。
「入るよー」
シュウが大きめの声を掛けて中に入ると、潤が居た。
雅紀や智の姿は見えなかった。
少し広い教室の中央には、大きな木のテーブルがある。
カーテンの掛かった窓際には、ソファが置いてあって。
その隣にある本棚には、これでもかと本が詰め込まれていた。
潤は手に持っていた本をソファの前の小さなテーブルに置いて立ち上がった。
「ああ…」
相変わらず、少し憂いを帯びた顔で迎えてくれた。
「話は聞いてる…いいの?こんな所に…」
「ああ…休暇の間、少しでもここの役に立ちたいんだ」
シュウが申し訳なさそうに潤に頭を下げた。
「ごめんな。兄貴が我儘言って…」
「いや、こっちは医者が居てくれるだけで心強いしいいんだけどさ…」
そう言って潤は俺を見て微笑んだ。
「俺んち、この前の雨で雨漏りがして、余分な布団がないから助かったよ…暫くの間、兄貴のこと頼むね」