第14章 The beginning of the story4
だけど、心の奥底に隠してきているもの…
智も俺も…潤も、捨てられないで苦しんでる。
それを埋めるように…俺たちは一緒に居るんだ。
心も身体も繋げて…
「智…」
名前を呼ぶと、嬉しそうに智は俺の胸に飛び込んできた。
「俺が居るから…」
「うん…」
ぎゅっと抱きしめると、智も抱きしめ返した。
「あ…」
翔が居心地悪そうにしているのが見えて、慌てて智を離した。
「ごめん…」
「い、いや…ほんと、俺、気にしてないから…」
翔は、A地区の人だから、気をつけなきゃってさっきも思ったのに…
「気を使わないでいいよ…俺のほうがここにお邪魔しちゃってるんだから…」
そうは言っても…
こんな狭い所にこんな状況で居て。
ただでさえ堪えるだろうに…
「ごめんね、翔…」
智も申し訳なさそうにしてる。
「いや、ホントに…いつも通りでいて?智…」
「翔…」
「ごめんね。ほんと…」
みんなで謝り合ってて埒が明かない。
気まずくなっていると、潤が目を覚ました。
「あ…れ…?」
「潤っ…」
智が潤に飛びついた。
「大丈夫?気持ち悪くない?」
「ああ…大丈夫。俺、どうした…?」
起き上がると、翔を見た。