第2章 Club lunar maria
雅紀はまた、冷蔵庫から飲み物を出してくれた。
「これ、お茶だから…」
「ありがとう」
ペットボトルを両手で持ちながら、クローゼットを漁る雅紀を眺めた。
さらさらの髪が邪魔なのか、時々かきあげてる。
さっき抱きついた時に感じたけど、細いけど鍛えられた身体してた。
だから俺のこと軽々と持ち上げたりできるんだろうな…
「あった」
クローゼットの中から、包帯とガーゼを出してきた。
「手の包帯、替えようね」
保健室から持ってきていた薬のチューブを雅紀は手に取った。
「翔は毎日来られるわけじゃないから…こまめに包帯は変えておこうね」
「うん…ありがとう。雅紀…」
なんか…雅紀、おかあさんみたいだな…
潤は頼り甲斐がありそうだから、おとうさん…
智は…弟?
そこまで考えたら、ふふっと笑ってしまった。
「なに?ニノちゃんたら…」
「ん?ふふ…なんでもない」
雅紀は手際よく包帯を替えてくれた。
「はい、いいよ」
「ありがと」
手をぐーにしたりパーにしたりしてみた。
まだじくじく痛い。
雅紀は俺の頭をぽんぽんと撫でると、微笑んだ。
「大丈夫。すぐに良くなるよ…」
「うん…」
その瞳は、ガラス玉みたいに綺麗だった。