第2章 Club lunar maria
「…暫く、ここで働く?」
「えっ…?」
「まあ、俺達も人手が足りてるかって言われたら、足りてないんだよね…」
「いいの…?」
「なんかしてないと、不安でしょ?」
「うん…」
「ニノちゃんにはここの管理人やってもらおうかな…」
そう言うと雅紀は思案顔になった。
「翔がきたら、相談してみるから…その時、提案してみるね」
「…ありがとう…雅紀…」
「いいんだよ…なんでも力になるから…」
きゅっと俺の手を握った。
雅紀の瞳はとっても綺麗で…
カラフルな電球の色が、雅紀の瞳に映っていた。
じっと俺を見つめると、雅紀は俺の頬を手のひらで包んだ。
「ニノちゃん…」
「なに…?」
雅紀の目が一瞬揺らめいた。
「…なんでもない…」
また俺の手を引いて歩き出した。
二階に戻ると、今度は店の中に入って俺を紹介してくれた。
お店の人も、お客さんも皆俺を大歓迎してくれた。
怖い人…いない…
もうお腹いっぱいだったけど、お店の人がいろんな物を食べさせたり、飲ませてくれて…
「う…苦しい…」
「ふふ…もう戻ろうか…」
また俺の手を引いて雅紀の部屋に戻った。
「楽しかった?」
「うん!あんなの初めて!すっごい楽しかった!」
「そう…よかった…」