第14章 The beginning of the story4
翔の手が俺の手首を握った。
「…俺がここに居たら、潤にストレスが掛かるみたいだから…俺、出ていくよ…」
「え?」
「俺と居ると、何か思い出すんだろ?」
「いや…」
こいつと翔子は違う
わかってる
わかってるのに…
「こんな時に、外に出すことはできない」
「潤…でも…」
「俺の問題なんだ。ごめん…」
薄っすらとろうそくの明かりが翔の顔半分を照らしてる。
「…ああ…やっぱり似てるな…」
「え?誰に…?」
「なんでもない…」
触りたい、と思った
「…あとちょっとで狩りは終わるから…大丈夫だ」
「でも、ストレスは良くないんだ」
「いいから。本当に」
「吐くほど…嫌な何かを思い出すんだろ…?」
「違う…」
嫌な思い出なんかじゃない。
翔子を愛した、愛されたことは嫌な思い出なんかじゃ…
「違うんだ…翔…」
愛してた…愛してる
今でも、俺は…
「潤…」
智が俺の手を握った。
雅紀が俺の体を抱き起こした。
そのまま俺の体を抱きしめると、宥めるように背中を擦った。
「ゆっくり息をして…」
「雅紀…智…」
「大丈夫だよ…傍にいるから…」
擦られた背中が心地よくて…
握られた手のひらの熱が心地よくて…
瞼がゆっくりと閉じていって、そのまま眠りに落ちた。