第14章 The beginning of the story4
「潤っ…どうしたんだっ…」
3人が駆け寄ってきて、俺の背中を擦った。
「まだ吐きたいか?」
翔の手が俺の頬に触れるのを感じた。
「翔…」
頭がぐらぐらする。
まるで現実じゃないみたいに、翔の顔が揺らめいて見えて…
「……翔子……」
翔を抱き寄せると、目の前が真っ暗になった。
『潤……ごめんね…』
『潤のあかちゃん…ちゃんと産んであげられなくてごめんね…』
ちがう
ちがう
おまえのせいじゃない
おまえだけのせいじゃ…
「翔子…」
自分の声で、目が覚めた。
「あ…」
「潤!ああ…よかった…」
薄暗い部屋の中で、俺の顔を見てる智が見えた。
「…俺…?」
「吐いた後、気を失ったんだよ…」
「もう、具合悪いなら言いなよ、潤…」
雅紀も横になる俺の顔を覗き込んできた。
「ああ…ごめん…」
こんなこと、初めてだった。
一体、なんで…
「ちょっとごめん」
翔の声がして、智と雅紀が視界から消えた。
「潤、わかる?」
「ああ…翔…」
「良かった。意識が混濁してたみたいだから…」
そっと俺の額に手を載せる。
「熱は、ないみたいだね。脈、見るよ」