第13章 SHELTER-zero-
何日も彷徨った。
水は小川や湧き水でなんとか出来たけど、食料はすぐに尽きそうだった。
ここで死ねということだろう。
何日も耐えられるほどの食料は、リュックには入っていなかった。
獣の吠える声がする中、大木の影や岩場で夜を過ごす。
何日もそんな生活をしていると、だんだん神経が過敏になっていく。
ちょっとした物音にも敏感に反応して、休まる隙がない。
一体俺は何をしているんだろう。
温かい寝床…
風の吹かない家…
今まで手の中にあったのに…
なぜ俺はこんなところを彷徨っているんだろう。
ある日、大きな滝の辺りに出た。
清冽な空気が、俺を包んだ。
ここで死ぬのも悪くない…
滝壺を覗き込むと、めまいがした。
そのまま荷物を下ろす。
靴を脱ぐと、靴下に水が染みた。
岩に乗ると、そのまま身体を投げ出した。
物凄い衝撃が身体を打ちつけた。
そのまま俺は水の中に深く沈み込んだ。
早く…早く死なせて…
娘は…生まれた時から障害があった…
それがわかった瞬間…その生命は奪われた…
助けてくれ
助けてやってくれ
やっと生まれ出でた命なんだ
法律がなんだ…憲法がなんだ…
誰も…誰も人の命を奪う権利なんて
あるはずがない