第12章 The beginning of the story3
「待ってくださいっ…子供にっ…子供に会わせてくださいっ…」
「松本さん…申し訳ありません。もう会うことはできないんです」
「そんな…家族の同意もなしに…!」
「入院誓約書に別添されていた条項にあります。あなたはそれにサインをしているのです…」
「え…」
「病院は、ご両親の同意がなくとも…通報する義務があるんです…」
「そんな…そんな馬鹿なことって…」
「わかってください…松本さん…」
「あんた…自分の子供じゃないからそんなこと言えるんだろう!?こんなの正気の沙汰じゃないっ…」
「それがっ…」
医師は吐き捨てるように言った。
「それが今の日本なんです…」
身体から力が抜けていった。
もう何も言う気力もなく、椅子に座っていることしかできなかった。
息もできない。
涙をながすことすら、忘れていた。
「胎内にいる時に分かれば…申し訳ありません…」
それがわかったところで何だと言うんだ
結局は、同じことだったんだろう?
子供は…闇に葬られる
「それでは…これで…」
「待ってください…」
医師は立ち上がりかけていたのを座り直した。
「子供は…なんの障害だったんでしょうか…」