第12章 The beginning of the story3
「そっか…女の子なのか…」
翔子は布団の上からお腹を撫でた。
「な?中の人が苦しいから、なるべく動いたらだめだからな?」
「うん…わかった。頑張る」
「だからぁ…頑張らなくっていいんだってば」
翔子は頑固だから…
「入院に必要なもの取ってくるから…寝てろよ?」
「え…行っちゃうの…?潤…」
「大丈夫だって。お前、いつ入院になってもいいように荷物用意してただろ?あれ取ってくるだけだから」
「そんなの…いつでもいいのに…」
「今のお前の仕事は休むことなんだから…余計なこと、考えんなよ?」
「うん…」
くしゃっと翔子の髪をなでた。
「俺が頑張るから…翔子は休め」
「うん…」
「ほらあ…あと5ヶ月も中の人と一心同体なんだからな!今からそんなんでどうすんだよ!」
「うん…」
耐えきれず、翔子は泣いた。
「翔子ぉ…そんなんじゃ俺、病室追い出されるよ…」
「ごめん…」
ちょっとだけ泣いたら、翔子は眠ってしまった。
その間にと思って、ナースステーションに挨拶に行って、それから自宅へ向かった。
タクシーで自宅へ行く間、遠縁のおばさんなんかに連絡して、これからのことを相談した。