第12章 The beginning of the story3
「とにかく安静にしていれば乗り切れるんだからさ、医者がOK出すまでは、歩いてもだめだって言われたからさ…」
「うん…ごめんね?早く退院できるように頑張るから」
「もう…だから、頑張らなくていいの。ゆっくり休んでいればいいんだから…」
嫁のご両親が亡くなってから、一時でも俺と離れていることを嫌がった。
ある日突然両親みたいに、俺がいなくなったらどうしよう。
無駄にそう思って、鬱々した日々を過ごしていた。
でもそんな気持ちもわからないでもない。
なにしろ俺が小さい頃体験したのと同じようなことが嫁の身にも起きたのだから。
「翔子は安心して休んでいればいいからね?」
「うん…ありがとう、潤…」
そっと翔子は目を閉じた。
「あ、そうそう。性別って聞いた?」
「え…?聞いてない」
「そっか…知りたい?」
「うん…ちょっと怖いけど…そういえばなんで今まで言われなかったんだろ?」
「イマイチね、確証が持てなかったんだって」
「ふうん…で、どっちだった?」
「女の子」
「わあ…そうなんだあ…」
今日とった超音波で、どうやら見えていなかったお股部分が見えたらしい。
足に挟み込んでるわけでもないから、女の子ですねって言われたんだ。