第12章 The beginning of the story3

俺は小さい頃に両親を亡くしていたから、嫁の両親を頼りにしてた。
だけどこうなってしまった以上、自力で頑張っていくしかない。

しかしこうやって嫁が入院となると、やはり俺だけでは手が回らない。

遠縁のおばさんは、俺の母の従姉妹に当たる人で。
小さい頃から家族ぐるみの付き合いをしていて、俺のこと、成人するまで面倒見てくれてた大恩のある人で。
おかげで俺は施設に入れられることなく育つことができた。

嫁が切迫気味でなんて電話で言ったら、しこたま怒られた。
大人になってからこんなに怒られるのは初めてだった。
やっぱり産科の医師とおんなじようなことを言われた。

大いに凹んだ俺はこれから赤子がこの世に出てくるまで、今以上に頑張らねばと心に決めた。

それから仕事に病院にと忙しい生活を送った。

嫁が退院してからは新生児の新親教室みたいなやつにも、一緒に参加した。
そうやって、どんどん父親になるための心構えを叩き込まれた気がする…

俺ってこんなに認識の甘い奴だったのかと、反省もした。

妊婦スーツというやつを初めて着てみた。
あんな重い物、ずーーーーっと身体につけてたら、そら疲れるよなあ…

もっと、頑張らないと。