第12章 The beginning of the story3
お水で手を洗ってみたけど、全然落ち着かなかった。
半泣きになってごしごしハンカチで手を擦ってると、トイレに誰か入ってきた。
「あれ?大野じゃん。うんこ?」
「ち、ちがーわ!」
入ってきたのは町田だった。
「なにしてんの?こんなとこで…」
「なんでもない…」
町田は怪訝な顔をしながらおしっこすると、また俺の顔を見た。
「一緒に…行ってやろうか?」
そう言って俺の腕を掴んだ。
「え…?いいの?」
「俺、まだ身長と体重しか測ってないから…一緒に行ってやるよ!」
そう言ってトイレのドアを勢い良く開けた。
その後、町田のお陰で落ち着いた俺は、なんとか書き取りを済ませることができた。
しきりから出ると、町田は上機嫌で。
「じゃあ、この後一緒に回ろうぜ!」
「うん!」
町田のお陰で、無事に入学前検査を乗り切ることができた。
家に帰ってその話をかあちゃんにしたら、かあちゃんは涙ぐんでしまった。
「ど、どうしたの!?かあちゃん…」
「なんでもない…後で、町田くんちにお礼に行こうか…」
そう言って笑いながら涙を拭った。
かあちゃん…ごめん…
俺、なんでこんな風に生まれたのかな