第12章 The beginning of the story3
校門を出ると、ゆりが立っていた。
ただ、こちらをぼーっと見ていた。
俺は無視して歩き出した。
「…わかってるんだから…」
背後で声がしたが、振り返らなかった。
次の日、暗いうちに家を出た。
まるで夜逃げみたいだなと、ちょっとおかしかった。
とうさんの運転で成田に向かった。
かあさんは憔悴しきっていた。
弟には何も告げなかった。
告げたところで、わけもわからないだろう。
「ねえ、にいちゃんどこいくの?」
「んー?ちょっとな、遠いところに行くんだ」
「いつ帰ってくるの?」
「そうだなあ…次のお前の誕生日には帰ってくるよ」
「えー?来年じゃん」
そういって剥れてしまった弟の頭を撫でた。
「いいこにしてろよ?お土産買ってきてやるから」
「…わかった」
空港についたら、両親がカウンターで手続きしてくれた。
弟が眠ってしまったから、かあさんはずっとソファで弟を抱えてた。
「雅紀…必ず連絡はちょうだいね…?」
「うん…」
そのままかあさんは泣き出してしまった。
「ごめん…かあさん…」
「雅紀…ごめんねぇ…ごめんねぇ…」
「かあさん…泣かないでよ…」
かあさんの肩に置こうとした手を掴まれた。
「相葉雅紀だね?」
振り返ると、みたこともない男たちが俺を囲んでいた。