第12章 The beginning of the story3
「雅紀っ…」
後ろからとうさんの声が聞こえたけど、男たちが邪魔で見えなかった。
「労働厚生省の者だ。ちょっと話、させてもらえるかな?」
「無理です…飛行機の時間が…」
「ああ…じゃあ公務執行妨害で、逮捕ね」
メチャクチャだった。
こんなことで公務執行妨害だなんて聞いたことが無い。
かあさんは弟を抱えたまま震えてた。
「連行しろ」
両腕を男たちに抱えられてソファから立ち上がらせられた。
「雅紀っ…おいっ…俺の息子に何をするんだっ…!」
とうさんの声が聞こえる。
「雅紀ぃっ…いやあああっ…」
かあさん…ごめん…
それからのことは、よく覚えていない
気がついたら俺はB地区に居た。
そう、ここが…すべての始まりだった―――