第12章 The beginning of the story3
幸い、教師たちはターゲットを俺に絞ったようだった。
年頃なのに女とつきあったこともない俺は、格好のターゲットだったのだろう。
毎日、教師たちに監視されていた。
風間もその日から遠ざけた。
俺はずっと一人で過ごしていた。
ある日、学校の掲示板に写真が張り出された。
誰が貼ったものかはわからない。
駅のホームで風間の肩に凭れ掛かる俺の写真だった
やっぱり…あの日、ゆりが撮ったものだろう。
幸い、風間が誰なのか特定できないように写っていた。
それだけは心から良かったと思った。
俺のこと受け入れてくれて友情を示してくれたやつに、迷惑を掛けることはできなかった。
その日から、俺の監視は全校生徒からもされた。
好奇の目で見られた。
噂はどんどん広がっていった。
もう、時間の問題だった。
駅のホームで電車を待つ。
こんな日常のことも疲れて、俺は柱に凭れて立っていた。
まっすぐ立つこともできなくなってた。
ぽとりと手から定期券が落ちた。
拾おうとかがんだ時、視界に入ってきた茶色のローファー。
顔を上げるとそこにいたのはゆりだった。
「…つきあってあげる。そしたら誤解、解けるでしょう?」
そう言って勝ち誇ったように微笑んだ。
目の前が怒りで真っ赤になった。