第11章 The beginning of the story2
「困るでしょう?ニノはこの世界に唯一のホムンクルスなんですから」
「そうだな…」
腕に抱いたニノの顔を見ながら、坂本社長はため息をついた。
「こうやって見ると、本当に人間の子と変わらんなあ…」
ホント、無責任なんですね。
ニノが人間みたいだろうとなんだろうと、ホムンクルスなんだ。
あんたが何体と作ってきたクローンと変わりないんだ。
そう…こいつはラットと一緒なんだ。
「さあ、もうそろそろ返して下さい」
ニノを抱き上げると、坂本社長はやっと諦めたようだった。
「…ま、とにかく二体目。頼むよ」
「わかりました」
クリーンルームを出ていく社長を見送って、ニノをベッドにおろした。
柵が付いているから容易に出られない。
「うー!うー!」
不満げなのも生意気だ…
「うるさい。おまえの家はここなんだからな」
最近、研究員たちも情が湧いてきたのか、ニノの扱いがおかしい。
そんなもの、なんの役にも立たないのに。
必要以上に人間に接触させると、成長に影響する。
だからヒューマノイドに育てさせるんだ。
「いいか、ニノ…お前はN1N0と言って、人類初のホムンクルスであって、人間じゃないんだ。ヒトじゃないんだ」