第11章 The beginning of the story2
「ニノ!ほら、こっちおいで…」
N1N0は呼びにくいと、坂本さんが勝手にあだ名を付けた。
最近、N1N0もそれを覚えてしまって反応するようになってしまった。
ヨタヨタ歩くニノが坂本さんの腕に飛び込むと、満面の笑みを浮かべた。
「おお…笑ってるぞ…俺のこと父親だと思っているのかな…」
にたにたしながら坂本さんはニノを腕に抱え上げた。
ニノは坂本さんの頬をぺちぺちと叩いて喜んでいる。
「よく抱いておいてくださいよ。来月からできなくなりますから」
「は?どういうことだ」
「来月からはラボのクリーンルームでヒューマノイドに育てさせます」
「…どうして…」
「ニノはホムンクルスですから」
「だけど…こんなかわいい盛りに無理やりラボに閉じ込めなくても…」
「坂本社長…こいつは人間ではありません。ホムンクルスです。こいつが生まれてくるのにどれだけ莫大な金を使ったと思っているんですか…普通のヒトの子みたいにはそだてられませんよ」
あんた、他人事だからそんな呑気なんだろ?
俺が人生かけて研究してきたこいつのこと、なんにもわかってないだろう?
「そうか…残念だな」
「それに外なんか出したら、どんな病気になるかしれませんからね」
「それは困るな…」