第11章 The beginning of the story2
…まだ乳児だから、油断はならないが…
ほぼ、N1N0は成功体だと言えるだろう。
今のところ、身体に異常は見つかっていない。
世界中から、面会希望が殺到している。
今はまだN1N0が乳児だからと断っているが…
バイオの世界では俺の名前とアースノール社のことを知らない人間は居ないと言っても過言ではない状況になった。
出資を申し出る団体も多くなった。
そのどれもが、この人工生命体を将来兵器として利用するのが目的なんだろう。
そして…臓器移植のスペアとして…
あからさまだった。
クローンは誰かの命のコピーだから気が引ける。
だけどホムンクルスならば、誰に遠慮することもない。
人間とは身勝手なものだ。
自然交配してできた生命以外は、認めていないということだ。
人間の手で作り出された命以外は、人間がどうしようと勝手だという理屈なんだろう。
人工生命の生殺与奪を握っているとでも言うのだろうか。
「…そんな資格、ありもしないのに…」
思わず、N1N0に向かってつぶやく。
だって、こいつの生殺与奪権を握っているのは…
俺だもの