第11章 The beginning of the story2
「仮にその個体を”イブ”とします。…そう、彼女はメスでした。誰のクローンなのかは伏せますが…」
「坂本くんっ…」
「ある、やんごとなき筋からの依頼でした。現在、イブはもういません」
「…どういう…?」
「イブの臓器を提供致しました」
会議室がざわざわし始めた。
「なんてことだ…君の独断かね!?」
「政府筋よりの内密の依頼でした。重役にも言ってくれるなと、直接の依頼です」
「どういうことなんだ…それは…」
「会長だけはご存じです」
また会議室がざわめいた。
経営を降りた会長の名前にピリピリとしたムードになった。
「イブのコピー元の女性は、生殖機能に問題が有りました。なので、今回N1N0に投与した合成DNAをイブに投与し生殖器のコピーは防ぎました」
「その生殖器は正常な状態に育ったのかね?」
「…通常の2倍の速さで成熟しました」
「え…?ではこのN1N0と…?」
「そうです。約2倍のスピードで成熟に至りました。なので、このN1N0の生殖機能に関しては問題ないと断言できます」
「……イブの臓器を移植した女性は…?」
「無事に出産されました」
会議室はしんとなった。