第11章 The beginning of the story2
俺の後を坂本さんが引き取った。
「…これが成功すれば…人類初のホムンクルスの誕生となります」
「陸上で自発呼吸をし培養液に浸らなくても生きていけるようになるということだな…?」
「その通りです」
「経口で栄養を補給していけるようになるということだな?」
「はい」
重役たちはざわざわとし始めた。
となりの席の重役と言葉を交わし、何度もモニターを見上げる。
「生殖能力は…?」
そこが最大のポイントだった。
もうその部分に関しての合成DNAは投与してある。
「この胎児はオスです。ここに…性器の影が見えますでしょうか?」
「ということは…?」
「その部分に関しても、成功していると思われます。ただし、こればかりは普通のヒトでも精巣の育成が不十分なこともありますので…第二次性徴期まで発育を見守る必要があるかと思いますが…」
また坂本さんは俺を見た。
こくりと頷くと、満足気に微笑んだ。
こんな顔を見たのは初めてだった。
「今回使った合成DNAに関しては、クローンなどで実証は済んでおります」
「なんだと…?ヒトクローンか?」
「はい」
「坂本くんっ…気は確かか!?」
クローンを製造することは堅く戒められている。
重役たちの顔色が変わった。