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SHELTER【気象系BL小説】

第11章 The beginning of the story2


その数日後――

俺が直接見ていた水槽の肉塊が驚くべき進化を始めた。
たまたま合成した肉塊だった。
だから解析も不十分なまま、培養液に漬けてあった。

こんなの成功するわけがないと高をくくっていた。

だから、扱いは少し乱暴だったかもしれない。

後からデータをひっくり返したら、欠損している箇所があって、どうしても同じ状況を再現できないくらい、いい加減な扱いだった。

「おい…こいつ細胞分裂してないか?」

傍らの助手に語りかけると、一緒に水槽を覗き込んだ。

「博士…もしかして…」
「ああ。今日からこいつをメインにしよう」

”N1N0”と書かれたラベルを見つめた。

勾玉みたいな小さな小さな肉塊。
他の肉塊は全て赤ん坊サイズだったが、この肉塊だけは勾玉サイズに合成していた。

それが良かったのかもしれない。

勾玉はだんだんおたまじゃくしのような形状になり、やがて手が出てきた。
成長の度合いを見て、合成DNAを段階を分けて注入していく。
まるで胎児の教科書を見ているようだった。

約五ヶ月、N1N0は水槽の中で育った。

「人間…だ…」

袋状にした水槽を悠々とたゆたう肉塊は、完全に人間の形状になっていた。

ヒトよりも生育が早い。
異常な速さで、この胎児状の肉塊は”ヒト”になりつつあった。

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