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SHELTER【気象系BL小説】

第11章 The beginning of the story2


ぷかり、培養液に浮かんでいる肉塊。

これで何体目だろう…

ぼんやりと、薄いピンク色の液体に浮かぶ肉塊を眺めた。

ここに来て二年。

何度もここまではくる。
だが、成功しない。

坂本さんは何も言ってこない。
この人は一旦任せたら、金は出すけど口は出さない主義だとかで。
理想の上司ってやつなんだろう。

大学でピペット土方をやっていたことを思い出した。
もう今では古い研究形態だ。
今、無給で学生を働かせるようなことをやっている大学はない。

だが俺が学科の学生だったころは、そんなことが横行していた。
絶望して辞めていった同期は、今何をしているだろうか。

あの頃よりも何百倍も恵まれた環境にいるのに、なぜ俺は結果を出せない?

「ヒトの形にすらなってないじゃないか…」

その時肉塊がすうっと上を向いた。
俺の方を向いて、にたりと笑った気がした。

目も鼻も口もないくせに

カッとなった俺は、培養液に繋がるスイッチを全てオフにした。
1分も立たない内に肉塊はもがき始めた。
断末魔の叫びなんて聞こえてこない。
ただ培養液が立てる水音を目を閉じて聞いていた。

なぜ…

なんで降りてこない。

絶望は、俺の神経を蝕んでいった。

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