第11章 The beginning of the story2
「長野くん、君にはこれからクローンチームの指揮を取ってもらいたい」
「…僕に豚のクローンを作れとおっしゃるんですか」
「そういうつもりはない。類人猿でも、使っていい」
「猿のクローンを作れと?そんなこと、僕じゃなくても…」
「長野くん。我々は君を腐らせたくないんだ…わかるね?」
なにがわかるね?だ…
俺からホムンクルスを取り上げるということは、俺の学者としての生命を断つのと同義だというのに。
そんなこと、わからないはずはない。
「僕に人間のクローンを作れと、なぜはっきりおっしゃらないんですか」
「ばかな…人間のクローンなぞ、そんな危ない橋を渡れるか」
あくまで、本音は言わないつもりか。
「では、僕である必要はありませんね。お断りします」
「長野くん、冷静になり給え。クローン研究なら、予算も潤沢にある。それに君への報酬も今よりも…」
「そういうことじゃないんだ!」
思わず会議テーブルに拳を叩きつけた。
「そんなものが欲しくて研究しているんじゃないんだ!」
俺は…知りたい
人間はどこから来て、どこへ還っていくのか
もしもこの手でホムンクルスが作れたら…
俺はそいつを知ることができるんじゃないか。
この手に答えを握れるんじゃないか?