• テキストサイズ

SHELTER【気象系BL小説】

第2章 Club lunar maria


「障害者なんだってさあ。俺」

そういうと明るく笑って智は奥のカーテンに消えていった。

「なんで…?」
「それが今の日本なんだよ。ニノちゃん…」
「雅紀…」

雅紀は柔らかく笑うと、俺の頭を引き寄せた。

「ニノちゃんはこんなところに居ちゃだめなんだよ?ちゃんと元の世界に戻らないと…」

雅紀、温かい…

「嫌だ…怖い…」
「それでも戻るんだ。ここに居るのは透明人間なんだから…」

こんなに温かいのに。
こんなに優しいのに。

「雅紀…」

雅紀に抱きついた。

「えっ…ニノちゃん?」

慌てたような声が聞こえても離れることができなかった。

「お願い…ここに居させて…」
「ニノちゃん…」
「お願い…ちゃんと働くから!」
「え?」
「ちゃんと働くから、ここに居させて?」

雅紀の腕が、背中に回った。
きゅっと俺を抱きしめると、溜息をついた。

「翔に相談してみるから…後のことはそれから決めようね…」
「うん…」

ご飯がくるまで、そうやって雅紀に抱きついていた。
そんな俺達を見ても、潤も智も何も言わなかった。
やっぱりここは、そういう世界で…
でもこのぬくもりを自分から引き剥がすことはできなかった。

/ 483ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp