第9章 HEAVEN
三階の貸し部屋は、暫く誰も使っていない。
俺と潤も一緒に寝ることにして、5人で上に上がった。
「上のほうが風の通りがいいもんね」
上につくと、廊下と教室の窓を開け放して風を通した。
「うん。気持ちいいね」
ニノがニコニコと笑いかけると、皆もつられて笑った。
「さ、布団敷くぞ」
潤が物入れから布団を出してきてくれて、それを手分けして絨毯の上に敷いた。
大判の布を何枚か掛けてシーツ代わりにした。
「じゃあ僕、雅紀の隣で寝るっ」
ゴロンと横になるとニノが俺の左腕にしがみついた。
「はいはい…」
さらさらの癖のない髪を撫でると、気持ちよさそうに目を閉じた。
「電気消すぞー」
智が言うと、すぐに教室は真っ暗になった。
「…すげえ。やっぱ静かだな…」
翔が呟く。
「ね…ここは、このままにしたいなあ…」
ニノが言う。
「そうだなぁ…でもここ、だいぶやばいぞ?」
「大丈夫だよ。手入れすればさ」
「法隆寺だってずっと建ってるんだろ?イケる」
「智の根拠のあるようなないような自信は尊敬する」
「なんだよそれえっ」
「はいはい…もう寝るよ?」
「はあい…」
すとんと俺の腕の中に収まったニノは、とても温かい。