第8章 ユメノドリーム
A地区でのことは、任せてくれと翔は言った。
多分、俺達の思いも及ばないことが色々あるんだと思う。
だけど翔はそれをおくびにも出さなかった。
「ニノ…お前のことは、長野博士が居なくなってもアースノールが諦めないと思う。それに他の研究所だって…喉から手が出るほど、お前のこと手に入れたいと思っていると思う」
ニノはにっこりと笑った。
「ん。だからね、そういうの避けるためにも、僕はここで独立国の首謀者ってことになるよ」
「えっ!?」
「顔も出して全世界的に有名人になっちゃえば、日本の一企業なんて手が出せないでしょ?」
「お…おまえ…なんてこと…」
「僕が自分自身を研究して、データを売りつけるって手もあるな…」
「えっ…!?」
「あ、それもいいかも。卒論のテーマにしよっかな」
「な、何言ってんだ?」
「え?これからも僕は医学の勉強を続けるつもりだし…人工生命の発展には協力していくつもりだよ?」
「ニノ…」
「そのためには、シュウと翔の協力は欠かせないからね?」
にっこりと、でっかい宿題をニノは翔に出した。
「あ、あのなあ…お前…」
「ふふ…これから忙しくなるよ?翔」
「わあったよ…」