第8章 ユメノドリーム
夕飯を食べて、俺達は暫く今後について話し合った。
ニノの口から飛び出たとんでもない独立の話…
今はまだ、現実のものとして考えられないけど…
でも、翔とニノは真剣に話し合っていた。
その姿を見ながら、俺達にできることってなんだろうって俺はずっと考えてた。
今まで、なにもないからできないと思ってたこと…
でも、動かなきゃ何も変わらないって、ニノに改めて気付かされた。
俺達だって、きっとなにかできるはずだ…
潤もなにかずっと考え込んでる。
智もにこにこして、皆を見てる。
できるんじゃないかな…俺達なら…
そう、ニノが居てくれるから…
「あ…翔!」
「ん?なんだよ。雅紀」
「その…ニノの身体のこと…」
「ああ…」
翔はニノの顔を見ると、微笑んだ。
「どうだったの…?翔…」
「ん?ああ…」
少し逡巡するように周りを見渡すと、翔は徐ろにニノの頭を撫でた。
「もう…帰らなくていいよ…」
「えっ…ほんと!?」
「ああ…長野博士に聞いたけど、特別な事はしてないってことだった。ただ…」
「ただ?」
ニノは後にも先にもたった一人のホムンクルスで…
この先のことは、誰にもわからない。
長野博士はそう言ったそうだ。