第8章 ユメノドリーム
しばらくしたらご飯ができたと智が呼びに来た。
お風呂の準備をしてる潤を呼びに行って、教室で4人でご飯を食べた。
久しぶりに温かいご飯とスープを食べた。
食料はこの3日、A地区から入ってこなかったから畑で採れたものばかりだったけど…
それでも温かい飯ってほんとありがたい。
「夜は鶏絞めて食べよう」
智が淡々と言うと、ニノが目を丸くした。
「ぬえっ!?し、しめる??」
「鳥小屋あっただろ?そこの鶏な?」
「ふえ~…」
ニノは目を白黒させてる。
「A地区じゃ誰かやっててくれたことだけど、本来なら自分の食べる分の殺生は、自分でやるもんなんだよ」
潤が説教臭いことを言っているが、ニノはふんふんと聞いている。
その姿がいじらしくて…
なんだか涙が出そうになった。
「どうしたの雅紀?」
智が不思議そうに俺を見てる。
「いや…どうもしない」
ふふっと笑うと、智はスプーンを咥えながら笑ってる。
きっと、わかってるんだろう。
「俺達も…ニノにたくさん教えてもらわないとな」
「えっ?僕?何を教えるの?」
「学校の勉強、教えてね」
「あっ…わかった!僕、智の教科書になる!」
凄く真面目な顔をして言うから、智は吹き出した。