第8章 ユメノドリーム
「まだ深くは考えられてないから、穴はあると思うんだけどね。そうやっていけば、理不尽にB地区に入れられた人たちの救済になっていくんじゃないかな…」
笑いながらいうニノは、とても落ち着いた顔をしている。
夢みたいなこと言っているけど、現実をしっかり見てる。
これが…あのニノなのか…
「…そんなことできるかよ…」
「そりゃ、無理だろうね」
「ええっ!?」
「今すぐは無理だよ…それにはスエードの力と時間と金だね。ゆっくり準備してけばいいよ」
あっさりと言い切って、また笑った。
「諦めたらだめだ。だから少しずつでいいから前進していければいい。そのために戦うんだ」
ぎりっと口を引き結んだ。
「まずはあのバカみたいな人間狩りを止めさせたい」
「ああ…」
シュウもニノの迫力に飲まれてる。
こんな15歳の少年なのに…
「まあ、今は武器もなにもないから、とりあえずじっとしてるしかないのかな…?」
「あ、ああ…そうだね…」
「じゃあ、怪我人見ようか…」
さっと立ち上がると、ニノは下に降りていった。
「ちょ…マサキ…あれ、なんなんだよ…」
「ん…まあ、いろいろあってね…」
「上に…報告…」
「まあそれは、翔と話し合ってよ?ね?」
「マサキ…」
「少しでも俺達に友情を感じてくれてるならね…」
ぐっと詰まって、シュウは黙り込んだ。
「なんだよ…マサキまでどうしちゃったんだよ…」