第8章 ユメノドリーム
「これからは…B地区の人たちも、武装しないとね…」
微笑みながら、さらっと恐ろしいことを言った。
「えっ…?」
「戦うんだよ。僕たち」
ニッコリ笑うと、凄みがあった。
「シュウ、できるでしょ?武器、調達してね?」
「どっ…どこにそんな金あるんだよっ…!」
「ああ…お金かあ…そんなの株でも投資でもやったらあっという間にできるでしょ?僕がやるから、そこは安心して?」
「ちょ、ちょ。何いってんの…?」
「何って…ふふ…わかんない?」
「ニノ…?」
ニノはにやりと不敵に笑った。
「独立するんだよ。日本から」
考えてることのスケールが違った…
ニノがシュウに次々に話すことに、頭がついていかない。
元々B地区は日本であって、日本ではないような物だから、独立国家になってしまえばいい。
だけど、日本から完全に独立することは実際は難しいだろう。
だから外郭から、日本を監視する。
そして犯罪者以外の収容者で、殺人犯などの凶悪な犯罪者を監護する役目を買って出る。
そんな立場になっていけば、あんなバカみたいなやつら、入ってこれなくなるんじゃないかって…
できればA地区とかB地区なんてなくしたい。
だが、A地区の連中の抵抗は激しいだろう。
なくなるにはどれほどの時間が掛かるかわからない。
それに今更A地区に帰されたところで、通常の生活が営める者は、今のB地区にどれほどいるだろう…
大丈夫だというものは、出ていけばいい。
でもそうじゃないものは…行き場がない。
だから、せめて彼らが生きている間だけは…
ここはこのままにしておきたい。
ニノはそう言い切った。