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SHELTER【気象系BL小説】

第8章 ユメノドリーム


ニノは俺達の顔を見渡した。

「僕は、ニノの記憶もカズの記憶も持ってる。融合…したんだと思う」

誰もなにも言えなかった。

「わかった…翔に、また診てもらおう…何かあったらいけないから」
「うん、ぜひ。翔には診てもらいたいよ」

そう言って笑うニノは、今まで見たどの表情よりも大人の顔をしていた。

「潤…見せて、腕」
「え?」
「腫れてる。智も…膝、雅紀に消毒してもらって」
「あ…」

智の膝から血が流れていた。
なんとか布で押さえていたんだけど、他のやつを優先してたから、消毒するのを忘れてた。

「智…」
「うん…」

智も、ショックを受けている。
少し呆然としながら、俺の方ににじり寄ってきた。

「別人…みたいだ…」
「ああ…」

暫く部屋には、治療する物音だけがあった。
誰も口を開こうとはしなかった。

治療が終わって、少し水を飲んで。
することもなく黙り込んで座っていた。

ニノはそんな俺達を見て、ただ微笑んでる。
焦ったような、悲しいような表情はどこにもない。

ニノみたいに人形みたいな顔でもない。
カズみたいに甘えた顔でもない。

一人の男が、そこに居た。

まるで、新しく生まれてきたように清々しい顔をしていた。

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