第8章 ユメノドリーム
「あれは、誰なんだよ…」
潤も智もニノを見つめてる。
「…ひとつになったって…」
「え?」
「多分、ニノとカズ…ひとつになったんだ…」
「どういうことだよっ…」
智が俺の胸倉を掴んだ。
「智っ…落ち着けっ」
潤が智を引き剥がした。
「…本人に聞いてみようぜ…?」
ニノは、こちらを見て微笑んでいた。
潤も智も、着替えを済ませた。
俺も、血まみれになったから身体を濡れたタオルで拭きながら着替えた。
落ち着くと、ベッドに座るニノが立ちあがった。
俺達の座る床に腰を下ろすと、じっとしている。
「ニノ…説明して…?どうしちゃったんだよ…」
智の声が震えていた。
「うん…」
少しだけ悲しそうな顔をして、ニノは床を見ている。
「僕は…ニノでもあり、カズでもある。融合した」
「融合…」
「ビリー・ミリガンを知っている?」
「え?」
「すごく昔の小説にもなった人だよ…多重人格の」
「ああ…小説読んだことはある」
潤が答えると、ニノは顔を上げた。
「あの中で人格の統合をしているシーンがあったね?」
「ああ…」
「僕たちは解離性同一性障害じゃないけど…でもあれと同じようなことが起こったんだと思う」