第7章 Fuse
「ちがう…」
「え?」
「俺…セックスしたことないんだ…」
「え…」
「かあさんに…いっつも邪魔されて…人を好きになることなんて、今までなかった…」
「カズ…」
「雅紀…俺はね…籠の中の鳥だったんだよ…かあさんの中では、いつまでも成長することのない子供のままだったんだ…」
そうじゃないと愛してもらえなかった
たとえそれが、偽りの愛だったとしても
俺はそれに縋るしかなかったんだ
そう、俺は…人形だったんだ…
「恥ずかしいことじゃない」
「…え…?」
「だって…俺がカズの最初の人になるんだろ…?」
「うん…」
「俺は、嬉しいよ…」
雅紀が身体をずらして、俺の足を開いた。
「大丈夫…俺に任せて…」
「あ…雅紀…」
雅紀の手が、俺の中心を掴んで…
優しく扱き出した。
こんなこと、人にしてもらうのも初めてだった。
いつも一人で処理してきたから…
かあさんに見つからないように
ひとりで、ビクビクして
気持ちいいのはほんの一瞬で
いつもいつも悪いことをしたような気がしながら
部屋の隅で、俺は…
「あぁっ…やっ…雅紀っ…でちゃうっ…」
「いいよ…」
「ひゃっ…ま、さきだめえっ…」