第1章 Area B
意外と、快適だった。
俺が湯に浸かって、外に出ると雅紀が入った。
外にあるシャワーブースで身体を洗い流して、風呂は終わった。
雅紀も身体を洗い流すと、一緒に身体を拭いた。
また校舎に戻って、今度は保健室じゃないところに連れて行かれた。
「ここ、俺の部屋なんだ」
新しくもらった服はだぼだぼで。
これって雅紀の服なのかな。
白の綿のシャツに、白のコットンパンツ。
貸してくれたビーサンだけがサイズが合ってた。
木の引き戸をガラガラと開けて中に入ると、保健室とは違って、そこはちゃんと人の住むところって感じになってた。
床にはラグが敷いてあって、ベッドもある。
小さい冷蔵庫らしきものまであって驚いた。
雅紀は部屋の隅にあるスペースに行くと、そこにタオルを放り込んだ。
そこは板で囲ってある、クローゼットのようだった。
「これ…作ったの?」
「うん。ここは廃校のただの教室だからさ。収納なんかないし…自分たちで作らないとなんもないの」
「すごいねえ…」
中に入って遊べるくらいの広いスペースになっている。
「なんか飲む?」
雅紀が冷蔵庫を覗きこんでる。
「何があるの…?」
「結構A地区のもの、流れてくるんだよ?」
そう言って出してくれたのは、見たことのある飲み物だった。