第7章 Fuse
「ニノ…」
「でも、まだ僕、知らないことたくさんあるから…まさき、教えてね?」
「…うん…教えるよ…たくさん…」
まさきの目に涙が光った気がした。
「どうしたの?まさき…」
「…俺、情けないよね…」
「え?」
「諦めたら…だめだよね…そうだよね…」
ごしっと袖で目を拭いたら、まさきはにっこり笑った。
「ニノは凄いね」
「えっ…」
「俺、ニノを見習わないと…」
「すごくなんかないよ…?」
「ううん…俺には、凄いなって思えるよ」
いきなりどたっとまさきは立ちあがった。
「よおし!俺、頑張る!」
そう言ってまた荷物をごそごそしだした。
僕はしばらくその背中を見つめていたけど、なにか手伝いたいなって思って。
まさきの近くに行ってランタンで手元を照らした。
「…ありがとう、ニノ」
またまさきはにっこりと笑ってくれた。
僕はその笑顔を見て、とっても嬉しくなった。
僕も…なにかできる…
ふたりでずっと荷物をみて、まさきは整理して…
外の音がなにも聞こえないからどうなっているかはわからないけど…
でもまさきがそばに居てくれるから安心できた。
じゅんやさとしも無事にきっと帰ってくる。
僕にはそう思えた。