第6章 YOU
あれが今日のキャンプ地だろう。
バカなやつらだ…
火なんか焚いたら、ここにいますよって宣伝しているようなものなのに…
捕まらないと安心しきっているのか、捕まってもすぐに釈放されると知っているから舐めきっているのか…
B地区の者は武器を携帯していないと、油断しきっているからなのか…
軍部は内部の勢力争いには関与しない。
”狩り”が見逃されているのはこの建前があるからだ。
正式に内部に入ったものにしか管轄権がないのだ。
侵入したのを認めるのは軍部の恥だ。
だから、”狩り”はずっと行われている。
軍部は黙認している形になる。
それに捨てられた人間なぞ、軍部では守る必要もない。
だから今回の俺達も軍部に管轄されないことになる。
だが、話は一応通す所には通してある。
念のためってやつだ。
「そのまま前進しろ。ホタルを置いていく。それに沿ってついて来い」
『了解』
発光塗料を塗った粘土を取り出す。
外気に触れると10分間だけ光るようできている。
それを落としながら、外壁際のキャンプ地まで近づいていく。
背中に担いだ装備が重い。
迷彩のツナギは久しぶりに着た。
暗視ゴーグルの視界は良好だった。
キャンプ地の近くまで誘導すると、俺の仕事は一旦終わった。
事の成り行きを見るのに、付近の一番高い木に登った。
”狩り”の人数は通常4~5人だ。
チームは10人来て居るから、今回は全員捕まえて密かにB地区を出て行くだろう。
軍部の体面とやらも立てなくちゃならないから。