第6章 YOU
B地区に着くと、リーダーが先頭でチームが車から降りていく。
俺はここからはステルスになる。
先にいつもの侵入路から入って、後からくるチームの道案内をする。
通信のチャンネルを合わせて、打ち合わせ通りに別れた。
ニノがどうしてB地区に入ることができたのか…
バイクで突破するなんて、なんの奇跡が働いてできたのかわからないが…
どんな鉄壁の要塞でも穴の1つや2つは存在する。
それがどんなタイミングで開くかなんて、神しかわからないだろう。
「やっぱりニノは…神に選ばれし子なのかな…」
どんな生命の神秘が彼に働いたんだろう。
なんで人間として…いや、ホムンクルスとしてこの世に生まれいでたんだろう。
暫くすると、ツーっと送信機に音が入る。
チームがB地区に入った信号だ。
いつも潤が待っている木…
見上げるとバンダナが巻いてあった。
急いで木に登ってバンダナを開く。
今日の日付が書いた紙が入っていた。
「よしっ…」
これを今日ここに巻いたことになる。
無事に過ごしていてくれた…
ここまで焦っていた気持ちが凪いでいった。
『櫻井…全隊入り完了した。指示を』
通信の音が音声に切り替わった。
木の上からB地区を見渡す。
外壁に沿って、小さな炎が見えた。