第1章 Area B
「まだ他に人がいるの?」
「ん?今の時間はいないよ」
「潤と…雅紀と、智以外はいないの?」
「うん。夕方から人が来るよ」
「さっき、翔が開店って言ってたけど、何かしてるの?」
雅紀はふふっと笑って向かいの校舎を指した。
「本当はB地区は商売なんかしちゃいけないんだけどね、ここは夜になるとクラブになるんだ」
「へえ…」
「あと、空いてる教室を使って、若い人たちにお店やってもらってる」
「お店?」
「うん。そうだな…アクセサリーとか洋服とか。飲食店もあるよ」
「それを一個一個の教室でやってるの?」
「うん。楽しいよ。後で見に行こうか」
「いいの?」
「いいよ。今日は俺、ニノの世話係に任命されたから。連れて行ってあげる」
にこにこ笑って、雅紀は水道の水を出してくれた。
「お水…出るんだ…」
「ふふ…一応ね、B地区の人間も前にやってた職業生かして生活してるんだよ?」
「そうなんだ…凄いね…」
B地区は…なんにもないと思ってた。
罪を犯した人間が多くいる場所だから、インフラなんて整備されてもないと聞いたような気がする。
だから、悪いことはしてはいけませんって言われてた…
あんなところに行きたくなかったら、いうことをきけ