第6章 YOU
千代田区永田町1丁目――――
この地下にスエード本部がある。
早くB地区に行きたい気持ちを抑えながら、本部へと急いだ。
地下4階にある本部は、24時間稼働している。
何個も認証をくぐって、やっと本部のドアにたどり着く。
全身をスキャンされて開いたドアの向こうには、広い空間が広がっている。
”島”と呼んでいるデスクの塊の内の一つを目指して走った。
「櫻井どうした」
「すいません、B地区で狩りが始まったようで、潜入したい」
「んだと!?暫くおとなしくしてると思ったら…!」
スエードではこの狩りをマークして、主催している団体を壊滅させる任務があった。
俺はこのチームではなかったが、B地区によく潜入するので、自然関わることになっていた。
政府は捨てた人間のことには関知したくない。
軍部でも同じ姿勢だ。
だが、首相官邸にくる市民団体の声は、無視しきれなくなっている。
だからスエードにこの件は丸投げされている。
「ちょっと待ってろ…」
島の責任者がパソコンに向かう。
「あ…」
「どうしたんです?」
「だめだ…”ベルベット”が介入している…」
「ええっ…」
ベルベットは、スエードと同じく政府の諜報機関の名前だ。
べったりと政府方針に従ってる、エリートの集団とでも言えばいいか…