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SHELTER【気象系BL小説】

第6章 YOU


しかしそれをこの博士はやり遂げてしまったのだ…
恐ろしく優秀で…

そして執念深いと言わざるをえない。

「結果、ニノが表に現れる事はあった。だがそれは…ほんの一時的なことで…だから諦めて、その男にニノのふりをさせることにしたんだが…」

そんなバカなことがあるか。
死にたくて死んだ人間なのに。
なぜ生き返ったかもわからないのに、できるわけがない。
やはり…長野博士はどこか欠けている。

人間として、大事な何かが…

「逃げ出したんだ…二週間前に…」
「逃げた先がB地区だったんですね」
「もう…ニノだニノじゃないなんて言っていられない。とにかくホムンクルスの赤ん坊が行方不明なんて…そんな事態だけは、外に漏れてはいけないんだ」

メガネを手に取ると、するりとかけた。

「ニノは…人類の希望なんだ」
「え…?」

さっきはラットと言い切った。
何を言い出すんだ…こいつ…

「あいつが居て、研究費を稼いで…次の…今度こそ、大量生産できるホムンクルスを作るんだ…」

ニノの顔が浮かんだ。
カズの顔が浮かんだ。

博士…それは無理な話だよ…

だってあいつらは人間だ。

悲しいほど、人間なんだよ…


もうあんたの人形には、戻らないよ

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