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SHELTER【気象系BL小説】

第6章 YOU


その日、社員食堂から外に連れだされた。
行き先は赤坂にある料亭だった。

長野博士の身上ではとてもじゃないけど入れない料亭…
やっぱり癒着してるお偉いさんを沢山抱えているんだろう。

予約も何もしていなかったようだが、あっさりと奥の座敷に通された。

「…なんですか…こんなところで話すようなことって…」

少し引いたような芝居をしながら、様子を伺う。

「いえ…ちょっと社の方では話しにくいことでして…」

長野博士がメガネを指で引き上げると同時に、庭の鹿威しが鳴る。

「櫻井さんは、一度だけニノを見ていますね?」
「はい。一度だけですが…それ以降は、村上の代打で入ることはありませんでしたからね」

大学の同期の村上、という設定のスエードの調査員。
もう10年も前からアースノール社の一員だ。
でも、ホムンクルスの赤ん坊や臓器売買に関しての確証は、長野博士の周辺で硬く情報が閉ざされて、近づくことができないでいた。

長野博士の懐に、がっつり飛び込む奴が必要だった。
だが、そのガードはあまりにも硬かった。

「今…ニノは社に居ません」
「えっ…どういうことですか?」
「実は…家出しましてね…」
「家出…?」

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