第5章 深遠の記憶
「僕がっ…」
「え?」
「僕がじゅんの子供になるっ…」
「ニノ…」
「だからっじゅん、死なないでっ」
ぎゅうっと抱きついた。
だってじゅんはこんなにも温かい。
僕に好きだって言ってくれた。
死んじゃダメだ…
死んじゃダメなんだ…!
「ニノ…ありがとう…」
じゅんは僕を高々と抱き上げた。
「でも、子供じゃなくていいよ」
「なんで?」
「だって子供にはキスできないから」
「きす?」
僕を下ろすと、また唇を合わせた。
「これがキス」
「キスは子供としちゃだめなの?」
「これは恋人同士がするんだよ」
「こいびと…」
「親子じゃしないの。好きな人同士がするの」
「そうなの…?僕、じゅんのこと好きなの?」
「わかんないけど…俺がニノのこと好きだからキスしたんだよ」
「そっか…好きならしてもいいの?」
「誰かれ構わずしてもいいってわけじゃないけど…そうだな。智と雅紀と…翔にもしてもいいかな。でもこれだけだぞ?」
「うんっわかった!」
僕はじゅんの顔を手で挟んでそっと顔を近づけた。
じゅんの柔らかい唇に、僕の唇を押し付けた。
「柔らかい…」
「いいよ…もっとしても」
じゅんが笑いながら言うから、何度も何度もきすをした。
なんだかとっても身体があったかくなった。