第5章 深遠の記憶
”Knock, knock, knockin' on heaven's door…”
人間じゃない僕にも…天国はあるんだろうか…
忙しなく動くさとしの背中を眺めていたら、まさきが手を握ってくれた。
「どうしたの…?ニノ…」
「ううん…あのね…」
「ん?」
「人間じゃない僕も…天国って行けるのかな…」
痛いくらい、握られた手に力が入った。
「まさき…?」
「ないなら、ニノが作ればいいんだよ。俺達もそこに行ってあげるよ」
「え…?」
「ニノは作られた命なんだろ?だったら天国も作っちゃえばいいんだよ。ひとりで寂しいなら、俺達も一緒にいくからさ」
「まさき…」
「だからもう、そんなこと考えるのやめな?」
そう言って俺の頭をなでてくれた。
「うん…」
俺のこと覗き込んでにっこり笑う顔が、なんだか照れくさくて正面から見れなかった。
それをごまかすように、まさきの胸に飛び込んだ。
「ニノ…?」
「ありがとう…まさき…」
ぎゅうぎゅう抱きついていたら、後ろからさとしがどかーんとぶつかって来た。
「なっ…なあに!?」
「俺も混ぜろ~!」
そう言って俺たち二人を抱きしめた。
「やだあ…苦しいよっ…」